私と王子様のプロローグ
———神崎さんが用意してくれたデータを見ながら第二弾や第三弾の進捗状況、クライアントの要望などを聞いて打ち合わせを終えた。
特に問題もなく普通に打ち合わせができて良かったと思っていたら。
「水野さん、今夜空いてます?」
「……どうしてですか?」
「もしよければ夕食を一緒に食べませんか?近くのショッピングセンターに新しく入ったレストランが美味しいらしくて」
私が、神崎さんと食事?
「相談したいこともありますし」
相談したいこと。きっとウェブCMについてだろう。
今日は定時上がりできる予定だし、誰かと約束をしているわけじゃない。この状況なら神崎さんの相談を優先すべきだ。
「分かりました。待ち合わせはどこにします?」
「ショッピングセンターの入り口で。連絡が取りあえるように、連絡先を交換しませんか?」
「はい、大丈夫です」
お互いの個人的な連絡先を教え合って、神崎さんは一旦自社に戻っていった。