私と王子様のプロローグ
「はい。蓮見先生の愛とは何か、を探すためにもCMの脚本を書くというのはいかがでしょう?」
もしかしたら依頼されたCMの脚本を書いていくことで、蓮見先生なりの愛の形を見つけられるかもしれない。
「なるほど。それはいい案かもしれない」
「CMの流れも男女の出会いから結婚までを描くことになっていますし。小説とは違った視点から物語を考えることで新しい発見があるかもしれません!」
「じゃあ、結婚を前提につき合おう」
コーヒーのおかわりいる?くらいサラッと言われたけど。
「……えっと?」
「水野さん、俺と結婚を前提につき合ってくれませんか?」
わたしは夢でも見ているのか?毎日あらゆるジャンルを読み漁り編集に携わってきたせいでついに自分で物語を作れるようになってしまったのか?
「わ、私は今日先生と脚本の依頼についてお話にきたのであって」
決して婚約をするために来たわけではなく。自分でもよく分からないまま必死に言い訳を並べる。
「このCMを見た人が自分たちも恋をしたい、結婚したいって思うような作品じゃなきゃダメなんだろ?」
「おっしゃる通りですコンセプトそのままです」