セーラー服と恋模様。
「ん?」

何も気付いてない顔で私を見おろしてる。
無邪気な顔だ。

「何でもない……」

危ない。
蒸し返しちゃうとこだった。
6年の時の話なんて、凛太はもう忘れてるかもしれないけど……。

「あ、雨」

「えっ!傘ないのに」

「俺持ってる」

「いいなあ!」

放課後の教室。
窓から、曇り空が広がってるのが見えて、窓ガラスにはいくつかの雨粒がついていて。

……凛太が黙ってしまったから、私も黙って、カバンを取る。
すると、机の上にポンっと紺色折りたたみ傘が置かれた。

「貸してやる」

「え、じゃあ、…百崎君はどうするの」

「いいんだよ。昔、お前も傘貸してくれただろ」

昔……?
古い記憶を巡ってみるけど、思い出せない。
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