セーラー服と恋模様。
「忘れたのかよ」

「すみません……ヒントください」

「ヒントぉ?」

凛太はめんどくさそうにしながらも、うーんと考えていた。
一緒に下駄箱まで出て、上履きからスニーカーに履き替える。
あ、またつむじが……。

と思ってると、凛太はスニーカーのかかとに指を入れながら、顔だけ上げた。

「ヒントは図書室かな」

ドキ。と心臓が跳ねる。
図書室と言えば、あのことしか覚えてない。
キスしたことしか……。

「わ、わかんない」

「もうちょっと考える姿勢を見せろよ。うわ、雨強くなってるし」

どんどん濃くなる雨雲を二人で見上げる。
外で部活をしていた野球部やサッカー部も、グラウンドから離れて校舎に退避している。

「やっぱり、傘、百崎君が使いなよ。私、止むまでもうちょっと待ってる」

「止まなかったらどうすんの?」
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