セーラー服と恋模様。
「…………」

凛太は私の手から紺色の傘を取って、ばっと広げた。
そして、私の頭の上に傾ける。

「帰るぞ」

傘で凛太の顔が見えない
相合傘じゃん、これ……。

凛太が歩き出すままに、小走りでついていく。
凛太が右側。私が左側。
ときどき、肩がとんって当たって恥ずかしいから、カバンを右側で持った。

「おい。邪魔なんだけどカバン。そっちの肩濡れるぞ」
「だ、だって」

……恥ずかしい。

なんでそんなに余裕なの。

なんで私だけ、こんなドキドキしてるの。

結局、カバンを抱っこする形で傘に入る。

腕も、肩も当たって、恥ずかしいよ。
こんなの、彼氏みたいだもん。

傘の中で、ちらりと凛太を盗み見てみる。
すると、凛太も同じように見ていて、慌てて俯く。

凛太も何も言わない……。
< 30 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop