セーラー服と恋模様。
同じ小学校だったから二人の家はわりと近い。

私の方が少し遠くて、大きなマンションに住んでいる凛太の家からまっすぐに歩いて、二つ目の角を曲がったところにある。
もうすぐそのマンションが見える。

「あ、もう、ここでいい……」

と言いかけると、凛太は素知らぬ顔で「送るよ」と言った。

「い、いいよ、悪いし」

恥ずかしいし……。


雨は本降りになっていて、傘を打つ雨音は強くなっている。

凛太の袖濡れてる。私は無事なのに。

さっきから、ドキドキがすごくて。
聞かれやしないかとひやひやする。


そんな私をじっと見下ろす凛太。
紺色の傘の中でわずかに見つめ合った。


「セリカ、本当に覚えてねえの?」

凛太の真剣な眼差しに、どきりとした。
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