セーラー服と恋模様。
恋のベクトル。
次の日は快晴。
傘も乾いたのできっちりと閉じて、今日はちゃんと返さなきゃ。

「いってきまぁす」

凛太の登校時間は私より早い。
だから今まで会わずに済んでいたんだけど。

傘、返したいし……。

いつもより10分早く家を出てみた。
凛太のマンションを通るまでに、シュン様の家がある。

また塀からにょっきりと伸びている何かの木の枝と葉っぱを見上げながら歩いていたら、後ろからくすりと笑い声がした。

「あ、瞬君」

「おはよ。また会ったね」

「もうご近所さんだもんね」

朝から気品漂う笑顔を拝めてラッキーだなぁ。
と思っていたら、シュン様がにこりと笑う。

「皆瀬さんって、百崎と仲いいの?」

「仲良く見える……?」

「見える。昨日、みんなの前でいちゃいちゃしてたし」

いちゃいちゃ……!?

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