カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
そんな彼に私も徐々に第一印象が薄れていくのを感じた。

他のバイトの子と楽しそうに会話をする彼は嫌な雰囲気はない。

気さくで人当たりの良さそうな感じがするように見えてきた。


「雨宮さん、岬さんに。」

「あっ。」


周りを見渡せば、他のバイトの子は接客中だ。

きっと他の子が持って行きたいだろうから。


「でも斉藤さんが。」

「冷めちゃうよ?いいの?」


店長に言われたら持っていくしかない。

初めて会話した日から、久しぶりに2度目の接客に向かった。


「お待たせしました。」

「あっ、ありがとう。」


彼の前にコーヒーを置いた。

彼の視線が突き刺さる感じがして、テーブルから彼に視線を向けた。

何故かじっと見られている。


「何か?」

「あっ、いや、あの、何でも。」


吃る彼に眉間の皺を寄せた。

凄く挙動不審で怖い。


『本当に副社長なのか?』


そんな疑問が浮かんでしまう程だ。
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