カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する

夏休みの二人

真夏の太陽が照りつける。

でも日本の蒸し暑さは全くない。

過ごしやすい風が時折吹き抜ける。


「心菜、外に行くか？」

「うん。」

「何か食べるか。」

「うん。」


慈英の声も弾んでいる。

もちろん、私の心も浮かれている。

だって私は慈英と二人で初めて海外旅行に来ているのだから。


「夜は出掛ける。こっちの友達が『心菜に会わせろ』って煩い。」

「私、話せるかな？」

「大丈夫だろ。俺も一緒にいるし大丈夫だ。」


そう私達が夏休みを利用して来た場所は慈英が子供の頃から暮らしている場所だ。

つまりアメリカだ。


「ずっと『会わせろ』って言われてたから。こっちにいる間は覚悟して。」

「覚悟って？」

「毎日呼び出しが掛かるって意味だ。」

「でも皆んなは働いてるでしょ？」

「休みを申請した奴もいる。まあ二人でゆっくりもしたいけどな。」


その割には嬉しそうだ。

子供の頃からの友達と久しぶりに会える慈英は本当に嬉しそうだ。
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