カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
流暢な英語で会話をする慈英を見つめる。


「ん?」


見つめ過ぎたのか慈英が首を傾げる。

そんな仕草もカッコいいと思ってしまう。


「慈英は完璧だね。」

「はっ?」

「何でもスマートだね。」


黙る慈英から視線を外した。


「彼女の前だから当たり前だろ。」

「…………?」

「カッコ悪い姿なんて見せたくないって思うのが普通じゃないのか?」


確かにそうだ。


「あー、それと…………多分過去の女の話題とか出ると思う。」

「うん。」

「聞き流せよ。今は心菜一筋だから。」

「…………そんなに聞かせたくない?」

「まあ。」


今度は慈英の視線が外される。

その姿に慈英の欠点を発見した気がした。

過去の女関係を絶対に知られたくないらしい。


「そんなに派手だったんだね。」

「…………言いたくない。」


小さめの声が聞こえてきた。


「やっぱり会わせたくない。」

「さっきは『会わせたい』って言ってたよ。」

「はあ。心菜、嫌いになったりするなよ。」


慈英が頭を抱え始めた。

いつもは自信に満ち溢れているが、私の前では過去の女関係で自信を失くす。
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