カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
「おいおい、日本人だろ?」

「ジェイ、やるな。」


目を丸くする私の唇に、再び慈英の唇が触れた。

幸せそうな顔が間近にある。


「Will you marry me?」

「…………。」

「心菜、ほら。」


注目されている。


「Will you marry me?」

「…………Yes.」


盛り上がる私達の席。

恥ずかしすぎる。

左手を掴まれて慈英を見上げる。


「婚約指輪。絶対に外すなよ。」

「えっ?」


頭が追いつかない。

嵌められた婚約指輪を見つめる。

ダイヤの指輪が私の左手薬指に嵌められている。

盛り上がる席に私だけが追いつけてない。


「congratulations !」


友達の叫び声が響く。

それでも指輪から目が離せない。


「コイツらの前で誓いたかった。」


慈英のそんな言葉が聞こえてきていた。


「俺たち、前に進もう。」


指輪を見つめたままの私を抱き寄せて、頭にキスを落とす慈英。

そんな甘い慈英に友達も最高潮に盛り上がっている。


『前に進もう』


慈英の本気を私も受け止める覚悟を決めなければならないと思った。
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