カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
その日から私も彼の接客をするようになった。

バイトの度に顔を合わせるようになった彼とは他愛ない話もするようになった。


「どこの学生なの?」

「月城女子です。」

「へぇ。」

「知らないんでしょ?」

「あっ、ごめん。ほら、俺はアメリカ育ちだから、日本の大学をよく知らないんだ。」

「アメリカ育ちね。」


だから英語だったのかと納得した。


「就職活動とかしてる?」

「えっ?いや、まだです。」

「いくつなの?」

「20歳です。今、3年なんです。」

「へぇ。」


興味あるのか、ないのか。

彼の質問攻めが止まらないが、私も他にも接客はある。


「ではごゆっくり。」

「あっ、待って。」

「はい。」

「あのさ…………。」


彼の言葉が止まる。

少し待っても彼は何も言わない。


「何かあれば…………。」

「携帯。」

「?」

「交換して欲しい。」


今度は私が固まる。
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