カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
入社当時からモテるとは思っていたが、目の前で告白紛いのシーンを見せられるのは初めてだ。

だが結衣も賢を狙っている筈。

断然結衣を応援したいと思うが、賢は結衣に興味がなさそうだし。

賢の好みはさっぱりだ。


「彼女?今、聞く必要ある?」

「いるの?」

「まあ…………いないけど。」


いないらしい。

普段の生活から彼女がいないのは予想していた。

ほぼ慈英のマンションに入り浸っているのを知っているから。


「雨宮、用は終わり?秘書課に戻れる?」


タイミング良く武内さんに声を掛けられた。

この状況を脱出したかった私には天の声だ。


「はい、戻れます。賢、ありがとう。」

「もう戻るのか?」

「うん、武内さんを待たせる訳にはいかないから。」

「ふーん、またね。」

「うん、コーヒーをありがとう。」


女子社員に一礼をして、武内さんに駆け寄る。


「賢、またな。」


武内さんも軽く手を上げて賢に挨拶した。

営業部から秘書課へ歩いて戻るが、ちらちらと視線は浴びる。

やっぱり注目はされているようだ。
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