カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
「大丈夫だったか?」

「はい、賢も人気者だって思い知らされました。」


クスクスと笑いながら話す。

渡部さんが私より賢の事が気になって仕方ないのは言葉で伝わっていた。

賢もモテる。

少し戸惑っていた賢が可笑しい。


「営業部は秘書課に並ぶ綺麗な人が多い部署だし、花形の部署でもあるから心配した。」

「武内さん、本当にありがとうございます。」

「言っただろ。俺の野心も入ってる。」

「それってミサキ商事と関係が?」

「岬家の方。」


岬家?

恵さん?

そういえば仲も良さそうな2人だ。

もしかして…………


「恋人?」

「そういう事。」


隣を歩く武内さんを見上げる。

気にする様子もなく、真っ直ぐ前を向いて歩いている。

恵さんとの結婚を反対されてる?

いや、それはないと思う。

だって私なんて普通に歓迎されたし、結婚相手に拘るような家には見えない。

なら、なんで味方になって欲しいなんて言ったのか?

ちらりと武内さんを見上げる。

なぜ?

頭の中は疑問しかない。
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