カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
3人で広いリビングに布団を敷いた。

並んで寝るなんて初めてだ。


「心菜、また遊びにくるから。」

「うん。」

「心菜、貸しだから。」

「ふふっ、うん。」


鈴乃と結衣が各々の言葉を投げ掛ける。

沈みがちな心が持ち直していくのを感じる。


「明日の弁当は頑張って。」

「うん、ありがとう。」

「貸しだから、礼はいらない。」


結衣は素直じゃない。

それでも新人研修からずっと私と仲良くしてくれている。

こう言ってても味方だ。


「二人ともありがとう。」


寝落ちする寸前に小さく呟いた。

二人に聞こえていたのかは不明だが。

次の日から弁当作りが始まった。

一人だけの食事で料理も手抜きだったが、久々に気合いを入れて作ってみた。


「よし!朝だよー!」


寝ている2人を起こして、トーストとコーヒーを出す。

慈英と賢には申し訳ないが、女3人で過ごすのも楽しかった。

入社して初めての体験をさせて貰った。


「遅刻するよ!」

「ここ会社に近いから羨ましい。」

「近くても遅刻はダメだよ。」


久しぶりに響く叫び声。

静かすぎた部屋に明るさが戻っていた。
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