カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
自由…………。

確かに迷惑を掛けなくて済むかもしれない。


「兄さん、ずっと帰ってきてないのよ。会社で賢と泊まり込んでたから。」

「そうですか。」

「すっごく甘やかしてあげてよ。フィアンセの雨宮心菜さん。」

「…………。」


恵さんに言われると恥ずかしい。

なんか知られてるみたいで。


「副社長、今日は定時退社させるから。」

「…………はい。」


夕飯は何がいいかな?

慈英の好きな料理にしよう。


「心菜ちゃんも嬉しそう。」

「えっ?あっ、そんな事はないです。」

「そう?なら早速、副社長へ朝の報告を。」

「はい。」


片手に弁当の袋を持った私に視線が突き刺さる。間違いなく恵さんだ。

静かな廊下の先にある副社長室を目指す。


「副社長、失礼します。」


毎朝の日課である報告業務を行う。

眠そうな副社長はニヤニヤと私を見つめているのを感じる。


「弁当は明日からはいらないから。」

「はい。」


今日からマンションに戻ってくる意志表示だ。

でも賢は弁当いるのかな?

ふと頭を過っていた。
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