カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
まだまだ止まない追撃に笑みを浮かべたまま答えていく慈英をちらちらと見る。

暇な私は手にチューハイを持ち、ちょびちょびと飲んでいる。

恵さんや武内さん達は他の男性社員と会話を楽しんでいる。


「いつ何処で知り合ったんですか？」

「二年前、雨宮のバイト先で。」

「『副社長が猛アタックした』って聞いたのですが。」

「そう、俺が猛アタックして付き合った。」

「何で雨宮さん？」

「うーん、好きになったから。」


真顔で答えていく慈英に私の頬が段々と赤くなっていくのを感じる。

はっきり言って照れる。

『好きになったから』とか言う？


「それに初めての男らしいし、俺。」

「ッ………！！！」


飲んでいたチューハイを吹き出しそうになった。

慈英は何を言ってるの？


「兄さん！」


恵さんのキツい声が飛んできた。

私が縋るように恵さんを見れば、頭を撫でてくれる恵さん。


「兄さん、嫌われたわよ。」


冷たい一言が吐き出されていた。
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