カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
名刺を鞄の中に入れ、代わりに携帯を取り出した。


「友達なら。」


ちらりと見上げれば、岬さんが固まっていた。


「岬さん?」

「あっ、いいの?」

「友達なら。交換しますか?」

「あっ、うん。」


慌てる岬さんに何か可笑しくなってきた。

笑みを浮かべて、嬉しそうに携帯を交換する岬さんの表情にクスリと笑っていた。


「雨宮さんって、彼氏いるの?」

「いませんよ。」

「へぇー、いないんだ。なら、俺が立候補しても良いよね?」

「…………さあ。私、誰とも付き合った事ないので。きっと釣り合わないですよ。」

「えっ?誰とも?」


岬さんが凄く驚いている。

誰とも付き合った事ないとダメなのか?

中高一貫の女子校に通って、その後は女子大に進学した。

岬さんの驚く表情に内心ムカっときた。


「ダメなんですか?彼氏がいなかったら。」

「あっ、いや、そういう事では。いや、意外だなって。」

「岬さんは経験豊富そうですね。話とか合うんですかね。」
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