カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
しっかりと繋がれた手に視線は集まる。

当然の反応だろうが。


「副社長、噂を耳にしましたよ。もう付き合いは2年以上になるとか。」

「そうです。副社長に就任して直ぐに出逢って、私から猛アタックしました。」

「そうらしいですな。」


この前の噂が役員にも流れていた。

笑いながら談笑する辺り、役員とは上手くやっているようにも見える。


「結婚式には是非招待してくださいね、副社長。」

「勿論です。一生に一度しかない晴れ舞台ですから。」

「楽しみにしてますよ。雨宮さんは綺麗な花嫁姿を見せてくれるでしょうから。」


会釈をした役員に、私も笑顔で会釈を返した。


「綺麗な花嫁姿を見せてくれるのか?」

「えっ?」

「期待してるぞ、心菜。」


いつもの意地悪な笑みを向ける慈英。

私の緊張を解そうとしてくれているのかもしれない。


「岬副社長、婚約されたとか。おめでとうございます。」

「ありがとうございます。彼女がフィアンセの雨宮です。」

「雨宮心菜です。これからも宜しくお願い致します。」


次々と挨拶される度に、同じ言葉を繰り返していく。

隣の慈英は当然のように言葉を繰り返す。

これが挨拶回りだと教えるように。
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