カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する

猛アプローチ

週末のバイトに顔を見せた岬さんは相変わらずスーツ姿だ。

岬さんには休みがないのかと思ってしまう。


「雨宮さん、何時に終わる?」

「15時です。」

「その後の予定は?」

「特にありません。」

「なら映画でも行かない?俺、観たい映画があるんだけど。」


ちらりと岬さんに視線を向ければ、嬉しそうな笑みを浮かべて誘っている。

私が断らないと思っているみたいだ。


「友達だよね?俺と雨宮さんは。」

「まあ。」

「付き合ってよ。俺、日本に友達とか少なくて。」


アメリカ育ちなのは聞いた。

春から日本へ異動してきたのも聞いた。

だから友達が少ないのも理解できる。


「嫌?」

「…………いいですよ。」

「なら、迎えに来るね。」


女性を誘うのに馴れてそうだ。

こんな風に何人も女性に声を掛けているのだろうか。


「店長、オーダーです。」

「雨宮さん、最近、岬さんと仲が良くない?」

「友達になりましたから。」

「へぇー、友達に。」


店長がニヤリとしている。
< 18 / 216 >

この作品をシェア

pagetop