カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
見つめ合う私達に声が掛けられる。


「岬様は本当に変わられましたね。」

「…………。」

「お二人の姿を見れば伝わります。きっとご両親も幸せでしょう。」


嬉しい言葉だ。

こんな嬉しい言葉を言って貰える私達は…………きっと幸せになれる。


「それでは話を進めましょうか。」

「お願いします。」


見つめ合う視線が外され、私も支配人に頷いてみせた。


「先ずは当ホテルのチャペル、披露宴を行う広間を案内させて頂きます。」

「はい。」

「折角ですので、ウエディングドレスなども見学されます?」

「購入予定ですが。」

「色々なブランドを取り揃えておりますし、ご購入される参考になるかと思いますので。」

「では是非。」


購入予定?

ウエディングドレスを買う?

驚きに慈英を見上げれば目が合う。


「一生に一度だから。」

「でも…………。」

「俺、これでも稼いでるから。ウエディングドレスを心菜に贈りたいだけ。」

「ありがとう。」


『ウエディングドレスを贈りたい。』

そんな慈英の気持ちを無下にはしたくなかった。
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