カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
支配人に案内されて見学に向かう。

他にも結婚を控えるカップルがチャペルなどを見学していた。

どのカップルも幸せそうに見える。

私達も他の人から見たら『幸せそう』に映っているのかな。

チャペルの中に足を踏み入れた。

途端に神聖な場所に感じてしまう。


「心菜、どう?」

「うん、いい。雑誌やテレビで見る雰囲気と同じだね。」

「ははっ、そうだな。」

「結婚式か。」

「半年もしたら…………心菜が歩くんだ。」


慈英の言葉にバージンロードを見渡した。

真っ赤な道が白い床に一本だけ作られ、ステンドグラスの貼られた祭壇に向かって真っ直ぐと伸びている。

本当に結婚するんだ。

じわじわと実感が沸き起こる。


「結婚するんだね。」


小さく呟かれた言葉。


「ああ。俺たち、もうすぐ結婚するんだ。」


慈英の呟きに『結婚』の文字が近づいてくるのを感じた。


「もうすぐ結婚だ。」


繋がれた手に力が籠められる。


『離さない』


そんな想いが伝わってきた。
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