カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
岬さんの行動力には脱帽だ。


「岬さん、お待たせです。」


バイトも終わり、私服でカフェに座る岬さんに声を掛けた。

午前はスーツだったが、着替えてきたみたいだ。


「雨宮さん、何か飲む?」

「あっ、でも映画に行くのでは?」

「まだ時間はあるから。少し休憩したら?」

「はい。」


店長にオーダーしようと背を向けた手を掴まれた。

振り返って岬さんを見る。


「雨宮さん、どこに行くの?」

「オーダーに。」

「今はお客様でしょ。座って。」

「でも。」

「すみません!」


岬さんがバイトの子に声を掛けた。

仕方なく席に腰掛けた。


「雨宮さん、何にする?」

「じゃあ、ミルクティで。」

「岬さんと雨宮さんって?」


バイトの子の疑問も納得だ。


「今は友達。」

「今は?」

「俺が彼氏に立候補中。だから猛アタック中だから。」


固まるバイトの子の視線が突き刺さる。

私は知らんぷりをした。


「ミルクティで。」

「あっ、はい。」


我に返ったバイトの子がオーダーを伝えに戻っていく。
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