カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
『二人で作り上げたい。』

そんな私の気持ちを汲み取ってくれるようになった慈英。

結婚式一ヶ月前には慈英の忙しさも落ち着いてきていた。

新たな新入社員が入社し、私も社会人2年目に入った。


「心菜、週末、最終確認に行けるか?」

「うん。」

「もうすぐだな。」

「うん。」


二人で帰る約束をしていた私は副社長室を訪れていた。

帰り支度をする慈英の内線が鳴り、忙しそうな慈英に代わって内線を取った。


「はい、副社長秘書の岬です。」

「ふふっ、岬も板についてきたわね。」

「恵さん?」

「副社長と帰るの?」

「はい、副社長に代わりましょうか?」

「ううん、来週の社長との会議を午後に変更したいのだけど大丈夫?」

「あっ、少しお待ち頂けますか?」


慌てて鞄から手帳を取り出して確認する。


「恵さん、大丈夫です。」

「じゃあ、変更を宜しく。」

「はい。」


内線が切れた。

手帳にメモをしていく。


「恵?」

「うん、来週の予定変更。」

「優大との結婚が認めて貰えて、恵が一時的に社長秘書、優大は海外修行。」

「2年目の私は一人で副社長秘書…………荷が重いです。」


つい愚痴を溢してしまった。
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