カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
「本当だから。」


岬さんの言葉に視線を上げた。

交わる視線に岬さんが口を開いた。


「彼氏に立候補中って言うのも、猛アタック中って言うのも本当だから。」

「本気なんですか?」

「本気だよ。一目惚れしたって言ったでしょ。」

「でも私と岬さんでは違いすぎる気が。」


歳も離れているし、社会人と学生だし、きっと生活してきた環境も違う。

何で私なのか分からない。


「恋は盲目。」

「えっ?」

「今の俺。雨宮さんしか見えてない。」

「…………。」

「早く雨宮さんも『俺しか見えてない』って言って。」

「…………。」

「まあ絶対に言わせるけど。」


ニヤリとする岬さんが私をじっと見つめている。


「他の奴に攫われる前に落とす。覚悟しといて。」


固まる私を見つめながら、コーヒーを飲む岬さんは大人の雰囲気を醸し出している。

落とされる…………

そんな錯覚に陥りそうになる。

恋愛初心者の私と恋愛が豊富そうな岬さん。

きっと分配は見えている。

そんな予感しかしなかった。
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