カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
チャペルでの式も終わり、披露宴までの時間を招待客と過ごす。

一緒に写真を撮ったり、歓談したりして過ごしていた。


「お義姉さん。」

「…………止めてくださいよ。」

「えー、心菜ちゃん、お義姉さんでしょ。」

「違わないけど、違います。」

「ふふっ、可愛い。」


恵さんの意地悪な笑みが慈英と重なる。


「慈英、泣かすなよ。」

「意味不明だ。」

「女癖は治ったか?」

「優大、お前な。」


隣では武内さんが慈英を揶揄っている。

そんな慈英と肩を組み、私を覗く武内さんと目が合う。


「雨宮さん、お幸せに。」

「はい。」

「俺と態度が違い過ぎだろ。」


組まれた肩に乗る手を振り払った慈英が小声で囁く。

近くにいる私達にしか聞こえない声だ。


「親父に反対するように助言するか?」

「…………慈英、お前な。」

「嫌だよな?やっと許して貰えたんだし。」

「…………。」

「幸せになれるように…………祈っててやるよ。」


勝ち誇った笑みを浮かべる慈英。


「俺は最高に幸せだ。」

「慈英、俺も負けないからな。」


武内さんが恵さんの手を引いて去っていく。

その後ろ姿を目で追い掛けていた。
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