カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
慌てて訂正をする。


「あれは緊張してて。」

「ははっ、そうだとは思った。」

「慈英は緊張しなかった?」

「それ以上に見惚れてた。」


何度も褒められて照れる。

今日一日で一生分褒められている気がする。


「義姉貴。」

「…………。」

「心菜、無視すんな。」


幸せに浸っていた私に、突如掛けられた声の方向に視線を向けた。

賢だ。

声から賢だと分かっていたが。


「普通に呼んで。」

「兄貴の嫁は義姉貴だろ。」

「止めて。」

「怒るなよ、綺麗な花嫁が台無しだぞ。」


クスクスと笑う賢は私を揶揄っている。

肩をポンと叩かれて驚く。

肩を出したウエディングドレス。

肌に賢の手が触れて驚いてしまった。


「おい、気安く触るな。」

「悪い、いつもの癖で。」

「肌に触るな。」

「ごめん。」


猛抗議する慈英に賢が謝っている。

そこまで怒る必要ないと思うが、私も驚き過ぎたのかもしれない。


「私も驚き過ぎた。賢、ごめんね。」

「俺も。」


目と目が合えば、アイコンタクトで謝った。
< 214 / 216 >

この作品をシェア

pagetop