カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
口元に手を当て始めた慈英を見つめた。


「ごめん、照れる。」

「…………ふふっ、私も照れます。」


慈英と視線が交われば、お互いにクスクスと笑いが止まらない。


「初めてかも。こんなに長く片想いしたのは。」

「長い?」

「3ヶ月ぐらい前だよね?初めてカフェに行ったのは。」

「そうかも。」

「ずっと心菜と付き合いたかった。」

「そんなに想われる理由がわかりません。」


慈英が顔から笑みを消して、真剣な表情に変わった。

その表情に私からも笑みが消える。


「心菜は魅力的だ。他の男が声を掛けないのは、勇気がない引っ込み思案な男だったからだ。」

「そうなのかな?」

「そんな男にチャンスは来ない。欲しいモノは即行動に出ないと手に入らない。」

「…………。」

「俺だけの心菜だから。」


絡まる視線に心が囚われていくのを感じる。

大人の雰囲気に包み込まれていく。

これが私と慈英の恋の始まりだった。
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