カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
ふとエプロンのポケットに手を入れた。


「ケイさん、これ。」


ケイさんの前にチョコを置いた。


「後で食べようと持っていたのですが。」

「えっ?」

「今日大学の帰りに美味しそうなので、ちょっと買ってみたのですが如何ですか?」

「でも心菜ちゃんが食べる為に。」

「お裾分けです。チョコはお嫌いでしたか?」

「好きだけど…………いいの?」

「はい。」


にっこりと微笑んで見せた。


「心菜、俺には?」

「チョコは好きですか?」

「心菜の好きなモノは好きだから。」


手を差し出す慈英にもチョコを渡した。


「ケイ。」


チョコに視線を落としながらケイさんを促す。

ケイさんと視線が合い微笑み返した。


「ありがとう、心菜ちゃん。」

「いえ。私こそ、ご迷惑をお掛けして。」


2人に向かって頭を下げた。


「ゆっくりしていって下さいね。」


2人に背を向けてバイトに戻った。


「心菜、電話する。」


「はい、ありがとうございました。」


帰り際、慈英の声が掛けられた。
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