カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
約束通り、慈英のマンションに泊まった。

緊張して向かった私とは裏腹に慈英は凄く嬉しそうに私と過ごしていた。

部屋ではくっ付いて離れないぐらい、慈英とは一緒に過ごしていた。

だからと言って、一緒に寝ても手を出される訳ではなく、ずっと抱き締められていた。


「心菜、いい匂いする。」

「そうですか？」

「うん。食べたいけど、またの機会にする。」

「…………。」


返事に戸惑ってしまう。


「心菜が大切だから。」

「…………。」

「おやすみ。」


慈英が私を抱き寄せて眠りに落ちようとしている。

慈英の包み込むような温もりに緊張が止まらないが、慈英の寝息が聞こえてきた事で私も眠りに落ちていた。

密着して寝る事なんてなかった。

緊張で強張っていたが、慈英は話題にも出さず、抱き締めた腕を離そうとはしなかった。

包まれる腕に慈英の温もりや愛情を感じた気がしていた。


『大切だから』


慈英の本心だと思えた。

２人で過ごす時間は楽しかったし、慈英の事、私の事、お互いを知る時間にもなった。

そして私は長い夏休みに帰省した。
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