カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する

約束通りに慈英は現れた。

家族には話しておいた。

慈英から散々催促され、折れる形にはなってしまっていたが。

家族は凄く驚いていた。

どんな人なの？

いくつなの？

質問攻めにあっていた。


「はじめまして、岬慈英と申します。」


両親は唖然としていた。

見た目は極上だからだ。

その上、差し出した名刺にも口が開いたまま塞がらないでいた。


「ミサキ商事の副社長をしております。近くのカフェでバイトしていた心菜さんと交際させて頂いております。」


スーツ姿で挨拶をする慈英に見惚れる気持ちは分かる。

何も言い出せない両親に、慈英は次々に話を進めていく。


「実は提案がありまして。」


キタ！

同棲の話だろう。

私はゴクリと唾を飲み込んだ。

ちらりと慈英を見るが緊張してるようには見えない。

黙る両親に、黙々と話し掛けている。


「一緒に暮らす許可を頂きたく、本日は挨拶に参りました。」


実家のリビングに緊張が走る。