カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
本当に秘密だから。

私と岬家が知り合いなんて言えない。

扉の音に同期が散っていく。

タイミングの良さに胸を撫で下ろした。


「秘密って?」


隣に座る結衣(ゆい)が聞いてきた。

研修期間、彼女とは隣の席になっている。

綺麗な彼女の少し冷めた視線に息を飲んだ。


「岬くんと秘密の知り合いって…………彼氏とか?」


「いや、違うよ。」

「雨宮さん、静かに!」


つい声が大きくなってしまい、研修担当の人に怒られてしまった。

その上、同期の視線が突き刺さり、恥ずかしさに俯いた。


「違うんだ。」

「うん。」


結衣に小さく頷いてみせた。

本当に違う。

でも秘密は言えない。


「岬くんの知り合いなのは本当?」

「そう。」

「そっか。ごめん、ちょっと気になって。」


結衣に視線を向ければ、結衣の綺麗な顔を見つめた。
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