カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
きっと結衣は賢が気になっている。

その賢と秘密の知り合いと言われれば、冷静な感情ではいられなかったのかもしれない。

ちらりと賢を見れば、にやにやと私を見る視線と交わる。

性格に難ありだ。

視線を外して、本日の研修内容に耳を傾ける。


「本日は特別講師に秘書課の方をお招きしております。」


秘書課?

ちらりと見れば、やっぱり恵さんだ。

凛としたスーツ姿の恵さんは私の憧れだ。

いつ見てもカッコいい。


「こんにちは。本日の研修を担当します岬恵です。基本的なマナーなど…………。」


恵さんの話をうっとりと見つめてしまう。

憧れの存在なのだ。

入社式以来、初めて恵さんを見る。

私も恵さんのようになりたい!

そんな憧れの存在をうっとりと見つめていた。


「美人だな。」

「岬って事は…………。」

「だろうな、高嶺の花だな。」


コソコソと話し声が聞こえる。

慈英と結婚なんてしたら家族になるって事だ。

美男美女の兄弟に私が?

頭の中で3人兄弟を浮かべるが、その中に私が入り込む勇気は…………ない気がする。
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