カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する

春の連休

賢と2人で現れれば、質問が飛び交い始める。

朝から一緒なのに驚いているようだ。


「何で一緒?」


結衣のポツリと呟かれた言葉に賢と目が合う。


「本当に付き合ってないの?」


疑いを含んだ声色が結衣から吐き出される。

他の同期も無言で私と賢を交互に見ている。


「ただの知り合い。賢が迎えに来てくれただけ。」

「何の?」

「ん?」

「岬くんと心菜は何の知り合い?」


核心をグイグイと突いてくる。

賢と目を合わせる。


「私達を騙してない?」


疑われている。

この一ヶ月、のらりくらりと交わしてきたが疑いが強まっているみたいだ。

その上、結衣は賢を狙っている。

一緒に現れた私達を疑って当然か?

目を合わせたまま押し黙る。


「まあまあ。」


重い空気を切り裂いたのは匠海の明るい声だ。

匠海を見れば、向き合う私と結衣の間に立ち、結衣の肩を優しく叩いている所だった。


「誰にでも秘密ぐらいはあるって。なっ、賢。」

「ああ。」


匠海に救われた。
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