カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
「今年から慣れてくのかな。」


しみじみと言葉が吐き出されていた。


「俺は嬉しいけど?」


慈英を見れば、笑みを浮かべて私を見ている。

私も慈英と出掛けれて嬉しいのは違いない。


「私も嬉しいよ。慈英と中々出掛ける機会とかもないし。」

「俺は出掛けたいけど。心菜は会社の人に見つかるのは嫌なんでしょ?」

「うーん、確かに。あっ、でも同期には話しちゃった。ごめん。」

「別に俺は構わないけど。」


驚く様子もなく、平然とコーヒーを飲み始めた。


「内緒の方が良かったんじゃない?」

「俺は『構わない』って言ってる。内緒にしたいのは心菜だけだから。」


確かに慈英は最初から内緒にする事に反対している。

私は知られない方が働きやすいと思っているのだが。

慈英は私が彼女だと知られても働きにくくならないのか?

会社ですれ違った時も…………って、すれ違う場面もないかもしれない。

入社以来、慈英と会社ですれ違った事なんてないから。
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