カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
副社長と秘書の関係、恋人としての関係がぐちゃぐちゃになってしまっていた。


「よし、コーヒー。」


気合いを入れ直して、もう一度だけ大きく深呼吸をした。

コーヒーを淹れる為、給湯室に向かって歩き始めた。

すれ違う役員と秘書に頭を下げつつ、役員室が並んでいる廊下を歩いていく。

ここは会社だ。

慈英と過ごしているが会社の中だ。

今の私と慈英は秘書と副社長であって恋人とは違う。

給湯室でコーヒーを淹れて副社長室に戻っていく。

もう一度副社長室に入る。


「副社長、コーヒーをお持ちしました。」

「ありがとう。それと恵に資料を送るように伝えて。」

「はい。」


一礼して副社長室を後にする。

まだまだ半人前だと気付かされる。

まだたった一ヶ月だし仕方ないのはわかる。

やっぱり私の目標は恵さんだ。


『あんな風になりたい！』


改めて決意してしまう。

今日も半人前の私は恵さんの指示の下で仕事を進めていくのだろう。

ふとガラスに映る私を見る。

見た目はマシになった。

これも恵さんがチョイスしてくれた。


「恵さん、今日も頑張ります。」


ガラスに映る自分に声を掛けた。
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