カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
恵さんの隣で仕事をしていれば内線が鳴り始める。

サッと手を伸ばして受話器を取る。


「ランチの時間だ。」


不機嫌な声が聞こえてきた。

ふと時間を見れば、まだ昼休みに入ったばかりだ。


「迎えに来い。」

「はい。」


よっぽどお腹が空いてるのか?

そんな不機嫌にならなくても良い気がする。


「恵さん、副社長がランチへと。」

「わかった。あー、ちょっと先に行ってて。」

「えっ、でも。」

「直ぐに行く。」

「はい。」


忙しそうな恵さんを無理に急かせない。

仕方なく一人で副社長室へ呼びに行く。


「副社長、お待たせしました。」

「ああ。」


私を見た副社長の口元が緩むのを見逃さなかった。


「恵さんは直ぐに来るそうです。」

「ふ〜ん、間に合うのか?」

「忙しそうでしたが大丈夫かと。」

「資料が間に合えば良いけど。」


副社長が嬉しそうな笑みを浮かべている姿が目に入る。

副社長と目が合う。


「雨宮、行くぞ。」

「はい。」


立ち上がる副社長の後ろをついて行く。
< 95 / 216 >

この作品をシェア

pagetop