カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
小声で言い合いながらランチの場所に向かった。

後ろをついていく私は二人の影になっているだろう。

その私の更に後ろをついてくる女子社員の声が微かに聞こえてくる。


「ちょっと二人が一緒だよ。何処の店に入るのかな？」

「あの子、新人秘書でしょ？副社長の秘書に抜擢されたらしいよ。」

「羨ましいよね。今も副社長と武内さんと一緒よ。」

「いいな。秘書課って顔？」

「かもね。」


そんな会話が微かに聞こえてくる。


「副社長の秘書なんて羨ましい。」

「いつも副社長と一緒でしょ？」

「だよね。恵さんも相当お似合いだけど、あの子も可愛いには違いないわね。やっぱり顔？」


可愛い？

そんな事は言われない。

社会人一年目で幼く感じるのかな？

彼女達の会話を聞きながら二人の後ろをついていく。


「心菜、ここでいい？」


前を歩く副社長に声を掛けられて目を見開いた。


「ちょっと名前で呼ばないで下さい。」

「別に…………。」


武内さんと話に夢中だったのか、私達の後ろに女子社員がいる事に気付いていなかったみたいだ。
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