再会は突然に
何となく分かった、彼女が照れているのが。
俺は感情を全面的に出すのが得意ではないが、彼女は逆で昔から感情が表情や行動に出やすいと思う。

照れを隠そうとした行動が、あからさまで俺にバレてるの気付いていないんだろうな。

それを指摘せず楽しむ俺はさぞ意地悪なんだろう。

・・・と、そんなことを考えている場合ではない。色々用意して、早く彼女を休ませてやらなければならない。

彼女が脇に体温計をさしたのを確認し、用意するべく動くことにしたのだった。
氷枕を準備し、買ってきたポカリスエットをサイドテーブルに準備し、彼女に有無を言わさず許可を取ってタンスを開け着替えとタオルを渡し、なんなら着替えさせてあげようかとからかいながら、なんとか休ませられるようになった。


「風香?横にならないと」


そう声をかけたのは、何故か彼女がベッドに腰掛けたまま横にならないから。
じっと手元を見つめていて、一瞬具合でも悪いのかと思ったがそうでもないらしい。

おそらく、何か考え事をしているんだろう。

そう思いながらも、あえて何を考えているか聞かず横になるようにと声をかけた。


「大希、お願いがあるんだけど」
「ん?何?」


もじもじと恥じらう彼女に、風邪じゃなければこのまま押し倒すんだろうなと思いながら聞き返した。
理性を保った俺を褒めて欲しい。
< 108 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop