再会は突然に
おそらく、というか高確率で、仕事で来ているんだろうなと予想はつく。
同時に、個人的には関わりはないんだろうなと予想もできる。

やっぱり接触は諦めるしかないのかな。
突撃訪問とか食事に誘うとか、天地がひっくり返っても無理だしなぁ・・・。

はぁ、とため息をつくと横から「重症やな」と恵梨が言った。
返す言葉もなく、大きなため息をもう一つつくしかなかった。


「みんなちょっといいですか」


声のする方を向くと、今までデスクにいなかった部長が立っていた。

部長は、フロアにいた人々が自分の方向を向いたのを確認し、「みんなも薄々勘づいていると思うけど、」と言った。


「つい先ほど正式に通達がきて、イギリスのエーズ社と共同で商品開発を行うことになりました。その関係で、エーズ社から数人が見学や打ち合わせを兼ねてこちらに来ているけど、騒がずいつも通りでお願いしますね」


や、やっぱりそういうことだったんだ・・・。
エーズ社って、イギリスの老舗インテリアメーカーで、業界に深い知識がない私でも知っているようなところだ。
彼は、そんなすごいところに勤めているんだ・・・。

しかし、共同で開発となると、海外事業部や商品部関係、営業などは何かしら接触はありそうだが、総務の私に接点なんてあるんだろうか。

社内で見かけることが出来たらラッキーぐらい・・・?
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