再会は突然に

そのアラームは役目を果たすことはなかった。何故なら、彼女の焦った声に起こされることになったから。


「ゆ、夢じゃないよね！？」
「昨日のこと何も覚えてないの？」


すっかり顔色が良くなった彼女が、部屋着を恥ずかしそうに布団で隠しながら聞いてきた。
昨日、あれだけ甘えて俺を試したくせに、もしかして覚えていないのか？


「いや、ぼんやり覚えてるんだけど・・・大希がいるなんて夢みたいで」
「夢じゃない、現実だから」
「えっと、仕事で来てるんだよね？」
「そう。まぁ本当は風香に会いたかったから無理やり仕事作って来た」


さらっと言えば、案の定彼女はしばらくフリーズして顔を真っ赤に染めた。

昨日あれだけ試され耐えさせられたのだ。これぐらいの仕返しをしたって罰は当たらないはずた。
そう勝手に考え、顔を真っ赤に染める彼女を我ながら意地悪そうな笑みで見つめる。


「熱でもぶり返した？」
「だ、大希のせいだからね！」


そう言って布団で顔を隠す彼女を愛おしく思いつつ、素知らぬ風にもう一度熱を測るよう言い、その間にシャワーを借りることにした。

熱を測りながら悶えていればいい。

そう思いながら、律儀に言われた通り熱を測る彼女を見届け、今日の仕事こそさっさと終わらせようと強く決意し風呂場に向かったのだった。