再会は突然に
少し大きい声を出してしまい、周囲からは何だという視線を送られ恥ずかしくなった。
それでも、その情報回るの早くない?まだ現れてそんな時間経ってないのに。

独身情報に安心する感情と、情報の早い出回りに驚く感情に忙しい私を見て、恵梨は「とりあえず」と声をかけた。


「確かに気まずいとか複雑とかあるやろうけど、こんなチャンス滅多にないで。今逃したら最後。絶対会いたくないなら別やけど、少しでも気持ちがあるんやったら何かしら行動を起こさな」


・・・恵梨の言葉はいつも的を射てる。
まさにその通り。

絶対会いたくないとか復縁なんてもってのほかだ、という考えはない。
それなら今でも引きずっているわけがない。
引きずっているのは、心残りがある証拠で自分の中で諦めがついていないということだろう。

行動に移すのはすごく怖い。

どうやって接触しようか、というのもあるが、ちゃんと話してもらえるのか?そもそも覚えていてくれているのか?などなど・・・。
心配事は尽きない、でも今回が最初で最後のチャンスで、恵梨の言う通り滅多にないチャンスだろう。

今回を逃したら、きっと私は一生引きずる。
ならば、一歩踏み出して少し今の状況を変えてみる方がいいのかもしれない。
もしだめなら、その時はしばらく引きずりそうだけど、幾分すっきりして次に進めるような気がする。
< 13 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop