再会は突然に
その日の夜。
私は久しぶりに高校の友達に電話をかけていた。


『急に電話とかどうしたのよ?まさか結婚でもするの?』
『ち、違うよ、何でそんな話飛ぶの』
『いやーラインでもなく電話だったからそういう系かなって』


緊張して損したわ、なんて電話越しに笑うのは高校3年間同じクラスだった国原ゆかりだ。
美人でサバサバした性格のゆかりは、今でも私のお手本である。

たまに連絡を取ったり食事に行ったりするものの、こうやって電話するのは久しぶりだ。

女性雑誌の編集者であるゆかりは、ネタがあればどこにでも行ってしまう。この間なんか連絡したら全く返ってこず、数日経って「今仕事で海外なの!」ときたこともある。
休みも返上して仕事を楽しそうにこなすゆかりを気遣って、電話はなるべくかけないようにしているが、今回は別だ。

理由は一つ。会社に現れた彼の話をするため。
とにかく、ゆかりにだけは報告しなきゃと思い電話をしたのだ。


『で、どうしたのよ』
『・・・実は、大希を社内で見かけまして』
『え?大希って、あの古賀大希?』
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