再会は突然に
もちろん幹事はそんな事情を知らず、「自己紹介してもらいます~!」と一行の自己紹介タイムに突入していた。
日本語を話せる人がほとんどで(日本に派遣されるような人たちだから当たり前か・・・)、順序良く自己紹介は進んでいく。

彼の順番は最後。
そのせいか、その前に自己紹介をしてくれる人たちの情報は大変申し訳ないが、一切入ってこない。

このタイミングでお手洗いに逃げるわけにもいかず、ただ「落ち着け」と何度も自分に言い聞かせることしかできない。

恵梨はというと、一行の登場から一言も発していない。
おそらく、今の私に何を言っても意味がないと判断しているからだろう。

バクバクと鳴り続く心臓の音を必死に抑えていると、「では最後、お願いします!!」と、彼の順番になってしまった。

あぁ、どうか悶えずに落ち着いて聞けますように・・・!!


「古賀大希と申します、歳は28なので皆さんと一緒です。大学の時まで日本に住んでいましたが、離れてだいぶ経つので地理に自信がありません」


彼、大希は表情一つ変えずスムーズに自己紹介を終えた。

相変わらず無表情というか愛想がないというか・・・。それでも懐かしさに胸が苦しくなる、恋しくなる。
あぁ私はこの人に未練タラタラなんだと実感した。
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