再会は突然に
「まさか、こんなとこで名前聞くとは思わんかった」


自己紹介が終わり、一行はそのまま中心グループに加わって飲み会が再開してからしばらく経った時。
恵梨が横で、中心グループの方を見ながらつぶやいた。


「私も、まさかこんなところで機会が来るとは思わなかったよ・・・」


当然、中心グループの中に気軽に加わることはできず、ただ遠くから見ることしかできない。
どうしろっていうの、この状況・・・。


「どうするべきだと思う?」
「・・・酔ったふりして突撃やろ」
「それができないから悩んでるんだよ・・・」


「やんなぁ」と言いながら、ため息をつく恵梨。
流石の恵梨もお手上げ状態らしい。

そんな中、そもそも一行が来たかどうかでさえ分かっていないあゆちゃんは、お手洗いにフラフラと行ってしまい、それから結構な時間が経っている。

あゆちゃん大丈夫かな・・・。


「ちょっとあゆちゃん見てくるわ、風香はここで待っといて」
「あ、うん、よろしくね」


申し訳ないな、と思いつつも、しっかり者でおろおろしない恵梨にお任せした方がいい。
あゆちゃんの無事を確認して恵梨が戻ってきたら、ちゃんとお礼を言わなきゃ。

そう思いながら、1人残された私は前に残っている料理をつまみながら大希の方をぼんやりと見ていた。
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