再会は突然に
「あ、そうなの?でも古賀さん、会議とかいろいろあるから退社時間も20時とかだと思うよ。遅くなるし、私が預かって渡そうか?」
「う、ううん!借りたものだし、ちゃんと直接お礼を言いたいから待つよ」


あと謝罪も忘れずに言わなくちゃ。ご迷惑をおかけしましたって。

でも20時か・・・総務は基本定時だから17時半とかだし、残業もこれといってないはずだ。
こうなったら、どこか駅周辺のお店で時間を潰すしかないかな・・・。


「20時過ぎって考えたらいいのかな?」
「そうだね、流石にそれ以上はないと思うよ」


あゆちゃんがスケジュール帳をパラパラとしながら答える。


「分かった、教えてくれてありがとう」
「全然いいよ!でも、急に風香から男の名前が出たからドキッてした」
「ド、ドキッ、とは・・・?」
「恋関係かと思ったからさー」


な、なかなか勘が鋭いというか、私がいかに男性の名前を出していないか、ということなのか・・・。
あゆちゃんの発言に私はただ愛想笑いで「全然そんなんじゃないよ」と言うしかなかった。

その後もあゆちゃんの恋愛トークは止まらず、楽しくもあり、嘘をついている罪悪感ありでなかなか複雑な昼下がりであった。
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