再会は突然に
え、何で私の横にいるの!?会社から出てきたっけ、もしかして気付かないうちに出てきた!?

パニックで「あれ」の続きが出ない私に、大希は変わらず不思議そうな表情を浮かべる。

いやそりゃそうだ!声をかけただけでパニック状態になってるいるのは普通に考えておかしいよね!
でも今の私はもう何が起きているのかさっぱりなんです!!

冷静そうな大希とは対照的に、覚えてくれているかなとかそんな疑問を消し去るほど私は焦っていた。


「風香、落ち着いて」


えっと、しか言えない私に、表情は読めないけど大希は確かに優しい声で言った。
不思議と心の波が少し落ち着いて、自分の置かれた状況が徐々に分かるようになってきた。


「誰か待ってた?」
「あの、大希を待ってて」
「俺?」
「うん、返さなきゃいけないものがあって」


そう言いながらハンカチの入った袋を出そうとした時、流暢な英語が聞こえた。
それは大希の背後からで、よく顔を見ればエーズ社の人たちだった。

大希は後ろに気付いて流暢な英語で返事をする。

金曜日の飲み会で見たことある人ばかりで、流暢な日本語で自己紹介をしていたはずなのに、今は大希を含め流暢な英語で会話している。

馴染みある人とだと英語になるのかな?

呑気にそんなことを考えていると、エーズ社の人たちは笑顔でぞろぞろと去っていく。
残ったのは私と大希だけ。
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