再会は突然に
・・・ってあれ、今のなんだったの?
大希は行かなくていいのだろうか?

浮かぶ疑問に答えは見つからない。


「遮ってごめん、もしかしてハンカチ?」
「あ、うん、そう!」


急に声をかけられたものだから、先ほどではないが驚いて、何も具体的な言葉は口から出てこなかった。
しかし体は不思議と動いて、出しかけた袋をもう一度出そうと、肩にかけていたカバンを開けようとしたとき、「待って」と腕を掴まれた。

掴まれた腕が急に熱を持って、更に心臓がバクバクと鳴る。


「返してくれるの後でもいい?」
「へ?あ、あと?」
「あぁ。その前に何か温かいもの奢るよ、寒空の下で待ってただろうし。夕食まだだよな?」


・・・え?これってまさか、まさか食事の誘いってやつですか??
凄いナチュラルに、スマートに。

しかも、なんか大希が待たせたからお礼する感じになってる、よね?

待たせた、というか早い目に着いてしまっただけだし、しかも私の突撃であって大希とは約束も何もしていない。

だから待たされたというわけではないし、奢ってもらうのは申し訳ない。
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