再会は突然に
結局選んだのは、あんかけの和風オムライスだった。
ふわふわの卵に心ひかれたのと、値段も高過ぎないものでこれぐらいが妥当かなと思ったからだ。

大希はきのこがたっぷり乗った醤油仕立てのパスタだ。
「無性にきのこが食べたくなった」と大希は言っていたが、確かに思っているよりたくさんのきのこが乗っている。

食事中は、料理の感想を言ったり、後は今の生活はどうなのかを質問し合ったりといった感じだった。
ここに来る前は、何を話せばいいのか不安だったが、ほど良いスピードで会話が進んだ。

思ったより普通に会話が出来て良かった・・・。

お互い自然消滅したことや直後の話には触れなかったのが良かったのかもしれない。
それとも、気にしているのは私だけで、大希はいい昔話ぐらいなんだろうか。
そう思われているのは仕方ないことというか、ここまで引っぱる私がおかしいだけで大希は普通なのかも。

そう思いながらも、決して悟られまいと気持ちを隠し、大希との食事を精一杯楽しもうとした。

お互い食べ終わり、食後のサービスで出てきた熱めの緑茶を頂きながら、私はカバンから袋に入ったハンカチを取り出し、大希に渡した。


「あの、金曜はごめんね、送ってもらったみたいで・・・私何も記憶がなくて」
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