再会は突然に
結局、何故頭を撫でられたか教えてもらえず私と大希は最寄りの駅構内にいた。
大希は会社近くにウイクリーマンションを借りているらしく、電車に乗る必要はない。
なのに、大希も一緒に私の乗る電車のホームにいた。


改札前でお礼を言って別れるんだろうと考えていた私には予想外の展開だった。
あれ?と驚いている間に、大希はスタスタと前を歩いていくし、追い付くの大変だったんだから。

やっと追いついた時には、私がいつも帰る時に使うホームにいてますます分からなくなったが、何も理解していない私に大希はただ一言「送る」。

流石に時間も遅いし、明日も仕事だ。
忙しいし、私なんかと違って責任とか色々背負っているし、送らなくていいと言ったが全く聞いてくれず今に至る。

少しでもいたい、とは思うが、大希の体調とかその辺を気にするともっと本気で断った方が良かったなぁ。

そう思いながら、横に立つ大希を見上げると、思ったより背が高くて驚いた。
私の覚えている中ではあまり背が変わらなったはずなのに、ちゃんと見上げなきゃいけないなんて。


「何かついてる?」


視線に気づいた大希がこちらを向いて、目が合い思わず逸らした。
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